ペットの遺体の保存はどうしたらいいでしょうか。
今日の夕方、飼っていたダックスフンドが亡くなりました。
小さい頃からずっと一緒にいた大切なペットです。
できれば家族が全員揃うまで待って、みんなでお別れをしてからお葬式をしたいです。
火葬までのあいだ、どのように遺体を保存したらいいでしょうか。
また、どうすれば少しでも長くきれいなまま保存してあげられるでしょうか。
ペットのご遺体は手足を優しくたたみ、葬儀までのあいだは保冷剤で冷やして安置しましょう。
「天国へのかけ橋」スタッフの石井が、ペットのご遺体の保存についてお答えします。
大切な家族との別れは大変辛いことです。
お気持ちの整理がつくまで、またお仕事で忙しいご家族が全員揃うまで、少しでも長く一緒に過ごしたいものですよね。
ペットのご遺体は、なるべく早く以下の手順で安置しましょう。
- 手足を優しくたたむ
- 体を拭き、毛並みをととのえる
- 保冷剤で冷やし、ご遺体を棺(ひつぎ)におさめる
- お花やおもちゃをお供えし、感謝を伝える
ご遺体を少しでも長く保存するには、保冷剤等でしっかりと冷やしてあげることが重要です。
一般的に夏場は2日前後、冬場は3日前後は保存できますが、正しく安置できれば4日ほど綺麗な状態で保管できることもあります。
飼い主のみなさまにとってはお辛い作業になるかもしれません。
しかしご遺体の安置は飼い主さまがする最後のお世話です。
丁寧に安置することで、あなたにお世話してもらった記憶とともに天国へ向かえるはずです。
正しい方法でご遺体を安置し、後悔なくお見送りする準備をととのえましょう。
このあと、ペットのご遺体の保存に必要なものと詳しい安置の手順をお伝えしていきます。
ご遺体の保存に必要なもの
ご遺体の保存に必要なもの | |
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棺もしくは丈夫な箱 (段ボールなど) |
ペットよりひとまわり大きいサイズのものを用意しましょう。 |
ペットシーツ、新聞紙 | 吸水性のあるものだと安心です。ペットシートが無い場合はビニールシート等でも代用できます。 |
保冷剤や袋に入れた氷 | ご遺体が傷むのを防ぐために使います。ドライアイスでも問題ありませんが、触れると大変危険で扱いが難しいので保冷剤だと安心です。交換することを考え、多めに用意しましょう。 |
タオルやガーゼ | 体をきれいに拭く際に使用します。 |
コットンや脱脂綿 | 体液を拭き取るために使用します。交換用に多めに用意してください。 |
バスタオル | ご遺体を包むために使います。大きめのバスタオルやブランケットを使ってあげましょう。 |
ご遺体の安置は、お見送りや葬儀の準備でせわしなく、さらに気持ちの整理がつかない状態で行うことになるかと思います。
ご家族に頼れる状況であれば、少しずつ手分けして準備を進めてください。
また、そばにお供えするものとしておもちゃやお花もあるといいでしょう。
こちらは、ご遺体の「保存」にあたって必ず用意すべきものではありません。もし余裕をもてる状況であれば、供養としてそばに添えるものも準備しておきましょう。
そばにお供えするもの | |
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おもちゃ | 生前愛用していたもの。 |
水入れとお水 | 生前愛用していたもの。少しお水を入れてあげましょう。 |
お線香とろうそく | ペット専用のものではなくても問題ありません。そばにお供えします。 |
生花 | 葬儀用のお花に限らず、生前のイメージに合うお花で構いません。 |
大切なご遺体を安置する手順
保存に必要なものを準備したら、ご遺体を安置します。
犬や猫の場合、亡くなってから2時間ほどで手足が固まってきてしまいます(死後硬直といいます)。
居心地の悪い体勢にならないよう、なるべく早くととのえてあげましょう。
(1)手足を優しく胸の方にたたむ
ペットシーツの上にご遺体を寝かせ、手足を胸の方に優しくたたみましょう。
すでに硬直が始まって手足を動かしにくい場合は、無理に折り曲げる必要はありません。
しばらくすると硬直が解けますので、そのあとに優しく丁寧にたたんであげてください。
このとき、目が開いている場合は優しく手で閉じましょう。
舌が出ているような場合も、口の中にしまってあげてくださいね。
(2)体を拭き、毛並みをととのえる
お湯で濡らして固くしぼったタオルもしくはガーゼで、お顔から体全体を丁寧に拭いてあげましょう。
外の汚れや雑菌を拭いてあげることで、少しでも長くきれいな姿で保存できます。
水分が残ると腐敗を進行させてしまうので、濡らしたタオルはしっかりしぼるようにしてください。
体を拭いたら、普段お使いのブラシで優しく毛並みをととのえてあげてください。
また、体から出血があったり、排泄物や体液が出てくることがあります。
「体に何か異変が起こっているのではないか」と不安になってしまいますよね。ただ、体液等の分泌は亡くなったペットに起こる自然な現象なのでご安心ください。
体液の分泌は時間とともに落ち着いてくるので、それまでは都度きれいに拭き取ってあげましょう。
量が多い場合はコットンや脱脂綿でおさえておき、必要に応じて交換してください。
(3)保冷剤で冷やし、ご遺体を棺におさめる
体液が染み出すのを防ぐため、あらかじめ棺の底に新聞紙やペットシーツを敷きましょう。
シーツを敷いたら、体全体を保冷するために保冷剤も並べて置いておきます。
棺の準備ができたら、ガーゼや薄いタオルで包んだ保冷剤をご遺体のお腹や頭〜首元のところに当ててください。
お腹や頭の辺りは傷むのが早い場所です。
前日まで食事を摂っていた場合は、とくにお腹まわりに何個か保冷剤を置いてあげましょう。
保冷剤を当てたら、清潔なバスタオルやブランケットでご遺体を包み、静かに棺(箱)の中に納めてください。
タオルで包むことで保冷効果を高く保つことができます。
体を包むタオルは、生前愛用していたタオルやブランケットを使用してもいいでしょう。
お気に入りのタオルに包まれ、安らかに最後の時を過ごせることと思います。
保冷剤は繰り返し冷凍庫で凍らせ、とけてきたら新しいものに交換してくださいね。
また、ご遺体の安置場所は肌寒いくらいの温度を保つことが重要です。
冬は暖房を付けずに、夏は冷房を肌寒いくらいの温度に設定して過ごしてください。
ここまでで、ご遺体をきれいに保存するための飼い主さまのお世話は完了です。
棺はどこに置くとよいのでしょうか。
直射日光の当たらない場所、またにおいが残っている場所を選びましょう。
ご遺体の状態をきれいに保つことを考えると、気温が上がらない場所が望ましいです。
そのため、直射日光が当たらず気温が上がりにくい場所を選んでください。外気にも触れないようにするといいでしょう。
また、ペットにとっていちばん安心する場所は自分のにおいが残っている場所と考えられます。
生前よく出入りしていたお部屋や、愛用していたゲージなど、馴染み深い場所に置いてあげましょう。
日光が当たってしまう場合は、カーテンをしめておくことをお勧めします。
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(4)お花やおもちゃをお供えし、感謝を伝える
ご遺体を安置したら、お気に入りのおもちゃやお水、お花をお供えします。
お花は葬儀用の生花に限らず、イメージに合うお花や思い出のお花で構いません。
このあとは時間の許す限り、すぐそばで感謝のことばを伝えてあげてください。
あなたと過ごした思い出と共に天国へ向かえるはずです。
もしもご遺体のお腹が張ってきたり色が変わったりした場合は、今のきれいな状態のまま保存するのが難しいというサインです。
ご遺体が損傷するなど、飼い主さまにとっても、安らかに天国へ旅立つ家族にとってもつらい状態になってしまいます。
大切な家族とのお別れは心の準備がつかず、ずっと一緒に過ごしたい…と思われる方も多いものです。
ですが、苦しい思いをさせずに安らかにお見送りするためにも、葬儀・火葬など納得のいくお別れの方法を考えていきましょう。
飼い主さまができる最後のお世話を
最後にあらためて、ペットのご遺体を安置する手順をおさらいします。
- 手足を優しくたたむ
- 体を拭き、毛並みをととのえる
- 保冷剤で冷やし、ご遺体を棺(ひつぎ)におさめる
- お花やおもちゃをお供えし、感謝を伝える
手足が固まってしまい思うように動かせない場合は、無理に動かす必要はありません。
ご遺体が傷まないように、保冷剤で冷やしておくことは最低限行っておきましょう。
人間とは異なり、動物の葬儀にハッキリとした形式や決まりごとは無いものです。
「あのときこうしてあげたらよかった」という気持ちが残ると、一緒に過ごしたたくさんの素敵な思い出が辛い記憶になってしまいます。
そのため、飼い主さまが納得するまで丁寧にお世話してあげてくださいね。
私たち「天国へのかけ橋」では、ご家族のみなさまでゆっくりとお見送りできるご葬儀プランを承っております。
ご心配、お困りごとは何でもご相談ください。
どうかみなさまにとって、後悔のないお見送りができることを願っています。
この記事を書いたペット葬儀の専門家
石井静香(いしいしずか)
更新
ペットのご遺体の安置は、気持ちの整理がつかない中で行うため大変つらく感じる方も多いです。そのためペットの終活として、事前に安置に必要なものを準備する飼い主さまも。大切な家族が安らかなきもちで旅立てるよう、あなたがしてあげられる最大限のお世話をしてあげましょう。